技術について


ISPSとは何か?

ISPSとは、日本におけるエビ需要と世界で主流となりつつある閉鎖循環式生産システムに着目し、(国研)国際農林水産業研究センターと共同で開発した、日本初の屋内型エビ生産システム:Indoor Shrimp Production System)の略称です。陸上に生産プラントを設置する閉鎖循環式養殖は、従来の海面養殖の課題を解決した最先端技術です。異常気象や病気の問題などでエビの生産、輸入が減少し、価格上昇が予測される現在、国内外での生産システムの導入は、大変有望なビジネスです。






閉鎖循環式養殖とは?

水産業における養殖は、大きく海面養殖と陸上養殖に分けられます。海面養殖とは、沿岸の海中に「いけす」を設置して、魚介類や海藻を育てる方法です。陸上養殖は、陸地に水槽を設置して行う養殖法の総称で、海水などを継続的に引き込み、そのまま排水する「かけ流し式」と、飼育水を循環ろ過システムを用いて浄化しながら行う「閉鎖循環式」があります。
海面養殖やかけ流し式は、環境の急変など常に自然条件に左右され、かつ餌の過剰投与などにより、しばしば海洋汚染を引き起こす要因になります。
閉鎖循環式陸上養殖は、場所を選ばず、海に頼らないため、自然のリスクを回避でき、持続的・安定生産が可能な方法として、水産物供給の一翼を担う方法として、大きな期待が持たれています。


ISPSのメリット

①安心・安全なエビの生産
 ISPSでは8種類の病気に感染していないことを証明された稚エビ(SPF)を、海外から輸入し、陸上の閉鎖空
 間で育成している為、外部からの病原菌の侵入はありません。
 その為、育成中棟性物質などの薬品は一切使用せず、安心で安全なエビ生産が可能です。

②環境に配慮したシステム
 従来の海面養殖やかけ流しでは餌の食べ残しや、排泄物による緩急汚染と、それに伴う病気の発生という問
 題がありました。
 ISPSでは、水を循環ろ過して再利用するため、環境に負荷をかけない自然に優しいシステムとなります。
 排泄物などは固形物の状態で、外部に取り出し、植物の栄養源として再利用もできます。

③世界中どこでも生産可能
 ISPSは、砂漠や内陸部のような土地でも、水を循環使用するために展開が可能です。

ISPSの特徴

①水を垂直循環
 低揚程大流量循環ポンプ(省エネルギー)と造波装置により、育成槽内に波を起こし、均一な水環境を作り 出すことが出来ます。
   波があるとエビは泳ぎだします。泳ぐことで、垂直な育成密度が稼げるのと、筋肉質なぷりぷりした美味し
 いエビになります。


②人工海藻
 エビはストレスに敏感で、共食いする生き物です。約2~3週間に1回行われる脱皮後は非常に弱く、その
 時仲間につかまると、食べられてしまいます。そのためISPSでは、エビの隠れ家となる人工海藻を育成槽
 に取り付け、ストレスを軽減し、共食いも抑制するシステムとなっています。


③沈殿物排出装置
 育成水槽の底部は逆三角形の構造になっており、残ったエサや糞、死エビ、脱皮殻は底部のピットに集まり
 ます。ここに集まった沈殿物は、スクレーパーという掃除ロボットで定期的に固形物の状態で回収。水質を
 いつもクリーンな状態に保ちます。


④水質管理
 エビを養殖するに当たって、水質管理はとても重要です。閉鎖循環式養殖では海面養殖と違って、エビに最
 適な環境を人為的に作ることが出来ます。我々は10年以上における実際のエビ生産データをもとに各種育
 成管理項目の目標値を設定し、安定的な生産を可能にしています。

⑤健康管理
 日々の育成管理において、エビの様子や育成環境の状態を目視によって観察することは、エビの健康管理に
 おける問題を早期に発見するうえで重要です。我々は10項目の健康管理指標を定め、点数化することで早
 めに健康状態を把握することを可能としています。